英語学習アプリの EPOP を使ってみたので使用感等をまとめました。
※全ての機能を把握しているわけではないため記載には過不足がある可能性があります。また評価は偏見を持たないように努めますが、個人の主観による意見もありますので、その点ご容赦ください。本記事をもとにした読者様のご対応の結果につきましてはこちらでは一切の責任を負えないことをご了承ください。
コンセプト
EPOP の主張では、英語ができるようになりたければとにかく英単語を暗記しろということらしいです。英文の 93.3% の単語の意味が分かれば、残りの単語も文脈から理解できるらしいです。そのため、EPOP では 英単語の暗記を効率的に行うための仕組みを提供するとのことです。
機能概要
アプリは韓国産のようですが、日本語表記の箇所については特に違和感はありません。
学習メニューは下記のとおり複数あります。
・「単語学習」
・「文法学習」
・「リスニング学習」
・「実践会話学習」(*2)
「単語学習」は、日本語の文章から、英単語(英文の穴埋め)を回答する出題形式です。
「文法学習」は、日本語の文章から、提示された複数の英単語を並び替えて英文を組み立てる出題形式です。
「リスニング学習」は、英語の音声を聞いて英文を回答する出題形式です。
「実践会話学習」は、ストーリーの台本から学習者に割り当てられるセリフ(日本語)を英訳し答える出題形式です。
「単語学習」「リスニング学習」「実践会話学習」での回答は音声もしくはテキスト入力で行えます。「文法学習」での回答は音声もしくは単語の選択で行えます。
最初の英語力チェックとその後の学習状況に応じて、アプリが最適な出題難易度や復習周期を決定します。
疑問点については AI に質問することができます。また、よくある質問・回答(他の学習者が質問済みの回答)を参照することができます。
日々の学習結果は「学習データ」として集計されます。暗記済みの単語数や英文に含まれる単語の理解度などが集計されます。
学習者のモチベーションを上げる仕組みとして、リーグ制度、アバターのオプション獲得、ミッション達成による称号の獲得などがあります。
このアプリはネイティブとの会話を練習したい人向けではないと思います。他のアプリでは AI 相手にフリートークのようなやり取りができるものがあるようですが、このアプリではそのような機能には対応していません。(*1)
*1 韓国版には AI と対話する形式でスピーキングの練習ができる機能があるようです。
*2 2026 年 4 月(2026/4/1)のアップデートでメニューに「実践会話学習」のβ版が追加されました。
料金
2026/2/24 現在、プランは 12ヶ月/11,900円 と 1ヶ月/1,980円 の2種です。
機能詳細
「単語学習」
日本語の文章から、英単語(英文の穴埋め)を回答する出題形式です。
例)
機嫌悪いの?
Are you [ ] ?
(正解は upset)
答は一択です(複数の選択肢が提示されるわけではありません)。例えば、上記例では angry と答えても間違いではありませんが、「angry でも合ってるけど他の単語も考えよう」みたいなメッセージが表示され、upset と答えるまで正解とは判定されません。
回答は音声かテキスト入力で行います。アプリ全体に言えることですが音声の認識率については状況(ハードのマイク性能、AI の解析精度、回答者の声質など)によって異なると思いますのでなんとも言えません。自分の場合は iPad を使用していますが、声質が悪いのか、発音が悪いのか、単語によっては全く認識されないことがあります。頭にきて他のパソコンに発音させたら認識されたということもあったので単に発音が悪いだけかもしれません。
回答が不正解ならば短期のうちに、正解ならば時間をおいて再出題されます。再出のサイクルは効率良く暗記できるようにアプリが自動調整してくれるらしいです。次回いつ出題されるかのおおよそのタイミングが画面に表示されています。自分でタイミングを変更することも可能です。
学習対象の単語帳を選択できます。デフォルトは EPOP が提供する全ての単語が対象ですが、カスタムで試験用(TOEICなど)、ビジネスシーン用、映画用などが選択できます。
辞書機能があり、出題文(英文)の単語をタップするとその単語、熟語などの意味を確認できます。
このメニュー(「単語学習」)では、英単語を英文の穴埋めで回答する形式ですが、英文の流れの中で単語を理解することでその単語の持つニュアンスもわかるようにしているようです。その反面、出題文が長かったり、構文が複雑だったり、ターゲットの単語以外に難しい単語、熟語、慣用句が含まれていたりと、ターゲットの単語だけに集中できないこともありますが、基本的に構文や慣用句についての解説はありません。その代わりに「AI に質問」アイコンから質問すると AI が回答してくれる仕組みがあります。出題に関することであれば基本何でも答えてくれますし、類似語やニュアンスの違いなどについても回答してくれます。「人気の質問・回答」では他の学習者が過去に AI に質問した内容を見ることができます。他者の観点からの質疑応答は非常にためになると思います。
「もう一度聞く」アイコンをタップすると英文を読み上げてくれますが、長押しでリピートしてくれます。細かい点ですが自分はこの機能を重宝しています。
「文法学習」
日本語の文章から、提示された複数の英単語を並び替えて英文を組み立てる出題形式です。
例)
鉛筆を置いてください。
[down][pencil][pencils][put][your]
(正解は Put down your pencils.)
提示される英単語にはダミー(使われないもの)も含まれます。
回答は音声、もしくは提示された単語のタップで行います。
このメニュー(「文法学習」)では、学習要点を文法に絞っているためか、出題文自体は(「単語学習」よりも)シンプルなものが多いように思えます。
疑問点を AI に質問できる点は「単語学習」と同じですが、それとは別に「文法辞書」アイコンをタップすることで、出題文の文法についての解説をみることができます。
その他、「単語学習」と同様の機能については説明を割愛させていただきます。
「リスニング学習」
英語の音声から英文を回答する出題形式です。
聞き取り3回以内に正しい英文を回答できれば正解と判定されます。4回目にはヒントとして日本語訳が表示されますが、4回目以降は正しい回答をしても、しなくても”惜しい”(恐らく不正解判定)と表示されます。
回答の正解・不正解が再出題のタイミングにどのように影響しているかは不明です。先のメニュー(「単語学習」「文法学習」)とは異なり、再出題のタイミングは表示されておらず、自分でタイミングを変更することもできません。
このメニュー(「リスニング学習」)には「英文発音診断」アイコンがあり、そこで自分の発音の正確度を分析できます。出題の英文になぞって発音すると単語ごとの分析が行われ、自分が上手く発音できたところ、できなかったところがわかるようになっています。
その他、「単語学習」と同様の機能については説明を割愛させていただきます。
「実践会話学習」
ストーリー仕立てで英会話の練習を行うメニューです。レストランやホテルの予約、ショッピングなどの複数のストーリーから選ぶことができます。
このメニュー(「実践会話学習」)での難易度は、CEFR をもとに設定されているとのことです。CEFR は言語能力を A1(初級)~ C2(熟達)の 6 段階で測る国際的ガイドラインで、EPOP ではこのうち、A1 ~ C1 が選択可能です。設定される初期の難易度は、これまでの成績を元に EPOP が自動的に決定しますが、自分で難易度を変更することも可能です。
出題形式ですが、相手との会話のやりとりの中で、こちらが話す内容については、日本語のテキストで表示されており、その日本語を英訳し応答するというものです。ですので完全なフリートークというわけでは無いようです。
(青字は相手のセリフです。)
例)
Good afternoon. May I have your passport please?
こんにちは。パスポートをお見せいただけますか?
はい、どうぞ。
(模範解答> Yes, Here you go.)
応答は音声もしくはテキスト入力で行います。
相手の話す内容は、最初は英語の音声のみで、テキスト表示のアイコンをタップすると、英文とその訳が画面に表示されます。(上記例の青字の2行は最初は表示されていません)
こちらからの応答は AI に評価され、よりふさわしい英語表現をアドバイスしてくれます。アドバイスをもとに改善しながら繰り返し応答していくと、最後に「完璧!」との AI からのお褒めの言葉とともに模範解答が表示され、次の問題に進むといった感じです。
他のメニュー(「単語学習」など)と同様、表示される英文に含まれる単語をタップすると辞書を呼び出せます。
だいたい3~4往復、上記のようなやりとりをしたら1つのエピソードが終了します。(難易度A1、B1での確認です。他の難易度では確認していません。)
忘却曲線に基づき再出題のタイミングを自動調整するといったような概念はなく、あくまで自分が好きなストーリーを選択し学習するといった感じです。
「学習データ」
学習データとして以下のような項目で日々の学習結果を集計してくれます。
・「習得済み単語」
・「単語理解度」
・「語彙力」
・「学習時間」
・その他
「習得済み単語」は、暗記した単語数の集計結果です。日々の学習結果から独自のロジックで算出しているようです。一つ単語が複数の意味を持つ場合、異なる単語として集計されます。
「単語理解度」は、英文に含まれる全ての単語のうち理解している単語の割合をパーセントで示したものです。先に少し述べましたが、93.3% の理解度で英文をスムーズに理解できるらしいです。
「語彙力」は、学習者が国内で上位何パーセントに位置しているかを示します。本アプリは韓国の方も多数参加されているようですが、語彙力の集計は国別で行われているようです。(つまり日本人であれば日本国内での位置付けのみがパーセントで表示されます)
「学習時間」は学習メニュー別(単語学習、文法学習、リスニング学習)の学習時間を集計したものです。3つのメニューの時間を合計した”総学習時間”については、他の学習者のデータも見ることができます。ただし、問題の進め方によっても時間に差がでますし、学習中に別の用事で費やした時間も集計されるようなので、自分的にはあまり参考になりませんでした。
このアプリで学習を続ける限り、データは継続的に集計されていくので、自分の成長具合を数値もしくはグラフで確認することができます。ただし、いずれのデータも TOEIC や英検などと連動しているわけではないので、「学習データ」の数値がどれぐらいになれば日常会話ができるとか、字幕なしで映画鑑賞できるとかはわかりません。
モチベーションを上げる仕組みについて
学習者のモチベーションを上げる仕組みとして、リーグ、アバター、ミッションなどがあります。
学習者は何らかのリーグ(ブロンズ、シルバー、ゴールドなど、最初はブロンズから)に参加します。週ごとに学習件数に応じたポイントが評価され、リーグを昇格したり降格したりします。
学習者は用意されたアバターから自分のアバターを選択できます。学習の進捗に応じてアイテムを獲得でき、アバターの着せ替えが可能となっています。
学習に対してミッションが設定されています(例えば「期間内に単語をxx個学習しろ」みたいな)。ミッションをクリアすると、「単語マスター」や「文法マスター」などの称号が与えられます。
その他の機能
気になった機能をいくつか紹介します。
その日の学習の締めに学習済みの単語を見直しています。「学習済みの単語」には、その日に学習した単語や、何度も間違った単語が一覧化されています。単語カードのようなイメージで、日本語からみることもできますし、英語のスペルからみることもできます。
出題された英文に含まれる英単語(穴埋め対象外のモブ的な単語)も「MY単語帳」に登録できます。登録した英単語は新たな出題対象(英文の穴埋め対象)となります。
「文法辞書」には文法が体系的に解説されています。「文法学習」の各出題からは使用されている文法に応じて、「文法辞書」の解説ページへのリンクが張られています。
所感
※ この所感は EPOP の 2026 年 4 月のアップデート以前に記述したものです。「実践会話学習」のメニューが存在しない前提で記述しているため、内容に確認不足な点がある可能性がありますがご容赦ください。
単語を暗記する手法は様々(*1)ですが、EPOP は間隔反復、精緻化アプローチ、想起練習を取り入れたアプリといった感じでしょうか。
*1 学習法の例を以下に示します。
間隔反復:
忘却曲線に基づき適切なタイミングで復習することで、記憶の定着率を向上させる。
精緻化アプローチ:
情報に対して意味付けや関連付けを行い記憶の定着や理解を深める。(単語を単独で記憶するよりも、英文で理解する方がニュアンスを掴みやすいなど)
想起練習(リトリーバル学習法):
思い出す(アウトプット)過程で記憶の定着率を高める。(テスト形式や、記憶したものを誰かに教えるなど)
フラッシュカード:
次々に情報を見せることで、論理的な左脳よりも直感的な右脳を刺激し、全体像を捉える力が高め、学習効率を向上させる。
多面的・多角的な問いかけ:
同じ知識でも、問い方を変えることで多角的な理解を促す。
専門家ではないためどの手法が一番効率が良いとかはわかりませんが、どの手法であれ、自分に合ったもの(言い換えれば継続できそうなもの)を選べば良いのではないかと思います。(*2)
*2 人により学習目的(フリートークに慣れたい、文法を体系的に学びたいなど)に違いがあると思いますが、ここでは単語を暗記するためのアプリという範囲で述べています。
EPOP では上記手法に基づき「単語学習」、「文法学習」、「リスニング」で出題していますが、出題形式としてはごくありふれたもので、やや単調に思えます。
そういったことよりも EPOP は幅広いニーズに応えるというか、痒い所に手が届くアプリを目指しているように感じます。(EPOPの中の人ではないので本当にそういった開発方針かはわかりませんが)
例えば、出題対象の単語について、変化形、派生語、例文、同じ単語の別の意味などを調べることができますし、あいまいな疑問に対しても AI が回答してくれます。英単語に関連する情報をまとめてチェックしたい人にとっては便利なアプリだと思います。
ですが、機能が豊富であるがため、学習の進め方は学習者個人にゆだねられているように感じます。
リーグ昇格をモチベーションに、より多くの問題をこなすため、構文や慣用句の理解はそこそこに、ターゲットの単語の暗記に注力してもいいですし、リーグを気にせず、ターゲットの単語と合わせて、構文、慣用句、熟語等を丁寧に理解していくといったことも可能です。学習者の考え方次第で進め方は様々です。
コスパの話になりますが、12ヶ月/11,900円のプランで、単語カードを作成するコストが節約でき、出題の最適なタイミングを管理してもらえ、出題文の単語をタップするだけで辞書検索ができるのであれば、自分的には悪くないと感じています。
以下、いくつか気になること。
「単語学習」についてですが、機能詳細でも触れましたが、構文や慣用句についての専門家の解説はなく、基本 AI に丸投げです。基礎的な文法等についての質問に対する AI の回答はわりとまともそうですが、複雑な構文などについての質問をすると回答が怪しくなります。あくまで個人的な感覚ですが、回答の1~2割は質問と回答が食い違っている、回答があいまい、もしくは回答が間違っているように思えます。「AI の回答が間違っている場合があります」と注意書きもあり、どの AI でも一定の間違いはあると思うのでいたしかたのないところですが、専門家による文法解説がないため、複雑な英文については何が正しいのかわかないことがあります。まあ、数千、数万の出題文に専門家の解説をつけるのは、このプラン(料金)では難しいのかもしれません。
AI の回答が怪しいようでしたら、ChatGPT や Gemini を併用する手もありますが、文法にこだわるのであれば別メニューの「文法学習」に重点を置いた方がいいかもしれません。「文法学習」であれば、「文法辞書」から出題文の文法を確認することができます。
基本的に運営側とのやり取りはできないようです。何らかの不具合を確認した場合「エラー報告」から状況を報告できますが、質問や苦情に対して運営側から個別に回答する仕組みがないため、実際にどのような対応をしているかはわかりません。一応サブスクなんで、もう少しましな対応をお願いしたいところです。
いろいろ述べましたが、基礎(語彙力、文法力、リスニング力等)の強化であれば、このアプリで十分対応できるのではないかと思います。